モルドバ議会選挙で与野党拮抗、組閣難航か

モルドバで24日実施された議会選挙(定数101)は与野党が拮抗する結果となり、組閣が難航しそうだ。選挙管理委員会が開票率99.4%の段階で発表した得票率は、親ロ派の野党・社会党(PSRM)が31.2%で1位となった。以下、親欧・改革派の新党「アクム(今)」が26.7%、親欧派の与党・民主党(DPM)が23.8%で続いた。親ロ派のショル党も8.4%と阻止条項(6%)を突破し、議会入りする。投票率は49.2%で1994年以来最低を記録した。

今回初めて適用された新選挙法では定数101のうち51議席が小選挙区で選ばれるため、最終的な議席配分はまだわからない。ただ、組閣には連立が必要とみられ、多数派形成は難航しそうだ。最悪の場合、改めて選挙が行われる可能性もある。

モルドバの選挙では従来、欧州連合(EU)・北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指す親欧派と、ロシアとの関係強化を目指す親ロ派の対決が焦点となってきた。しかし今回は、2014年の「10億ドル盗難」スキャンダルを機に注目が高まった汚職問題や、欧州最貧国ゆえの貧困対策、教育政策など内政の比重が大きくなった。改革派の新党「アクム」が4分の1を超える票を獲得したのも、これを反映した結果だろう。

実際、社会党、民主党、ショル党のいずれも、トップ政治家が政府機関の弱点を悪用して私腹を肥やしていると言われ、汚職対策が進まぬよう裏取引をしているとの疑惑も浮上するほどだ。

「10億ドル盗難」スキャンダルは、政治家、公務員、実業家らが国内3銀行を通じて、国庫から10億ドル強を海外に送金した事件だ。国家予算の7分の1に当たる大金の着服ということで、国民の大規模な抗議運動につながった。3銀行は閉鎖処分、幾人かの関係者は懲役刑に処せられ、調査委員会も設置されたが、未だに事件の黒幕や金のありかについてはほとんど分かっていない。

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