ラトビアに欧州初の人工知能(AI)キャスターが登場した。中国が世界初のAIキャスターを発表してわずか3カ月後のお披露目で、人工知能技術の最先端を支えるバルト諸国の意気込みを示した格好だ。
ラトビアのAIキャスターは「ラウラ」という名前の女性。人気アナウンサーの声をベースに、最新のディープラーニング技術を使って、自らラトビア語のニュースの読み方を学んだという。ただ、実際にデモ映像を観たところでは、声や表情の自然さでは中国のほうが勝っているようにみえる。
「ラウラ」を開発したのは、言語テクノロジー企業のティルデ(Tilde)とバルト3国最大のネット報道会社を自負するデルファイ(DELFI)。デジタル時代に合ったニュース配信の形を探るのが目的で、次はAIキャスターとユーザーの双方向コミュニケーションや、ユーザーの関心に即したコンテンツの提供が課題という。
AIキャスターが実用化されれば専門のアナウンサーは必要でなくなり、規模の小さい企業、果ては個人でもニュース番組を配信できるようになるかもしれない。一方、配信元が増えれば、偽情報や誤情報が増えるのも必至。フェイスブックなどのSNS(ソーシャルネットワーク)が情報操作に使われる例もあり、ユーザーはこれまでにも増して注意しなければならないだろう。