中国家電大手の中国海信集団(ハイセンス)のスロベニア子会社ゴレニアは25日発表した2018年通期決算で3,730万ユーロの純損失を計上し、前年の黒字(430万ユーロ)から赤字に転落した。ハイセンスとの戦略提携への準備や買収に伴う特別支出を含めると、赤字幅は1億1,120万ユーロに膨らむ。
売上高は1.7%減の188億ユーロに縮小、営業損益(EBIT)は前年の1,200万ユーロの黒字から2,820万ユーロの赤字に悪化した。
地域別では東欧、ブランド別ではアスコ(Asko)が好調だった。一方で、OEM(受託生産)事業はハイセンスによる買収で顧客が発注に慎重になり、31.8%の売上後退を余儀なくされた。また、西欧でも市場競争の厳しさを反映して売上高が5.9%縮小した。
ハイセンスは昨年夏にゴレニア株の95.42%を取得した。年末にはリュブリャナ、ワルシャワ両証券取引所における同社株の上場を廃止し、今月11日付で会社形態を株式会社から有限会社へ変更した。
■スロベニアとセルビア工場は生産能力増強へ
同社は今後、ベレーネ本社工場とセルビア・ヴァリェヴォ工場の生産能力を増強する計画だ。ベレーネではテレビ、ヴァリェヴォでは冷凍・冷蔵庫を生産する。
ベレーネでは既存工場に隣接する3万2,500平方メートルの敷地にテレビ工場を新設する。当初は年間100万台の生産能力を整備し、2023年までに年産能力を400万台に引き上げる。従業員数は300~400人体制で始め、将来的に1,000人に増やす。投資額は3,000万~4,000万ユーロ。2020年末頃の生産開始を予定する。
ヴァリェヴォにはベレーネ工場から冷蔵・冷凍庫生産を移管する。同工場をハイセンスの欧州冷蔵・冷凍庫生産センターに強化する計画の一環で、年産能力は最新鋭モデル15万台を含め82万2,000台に拡大する。中期的には年産能力75万台の生産棟を新設し、本格稼働する2021年には工場全体で年間157万台を出荷できるようにする。
ハイセンスは昨年8月にゴレニアの発行済み株式95.42%の買収を完了。欧州工場3カ所と研究開発拠点4カ所を取得した。
オーブンやレンジフード、冷蔵庫、洗濯機、小型家電などを製造する同社はゴレニアとAskoの2つのグローバルブランドのほか、Atag、Pelgrim、Upo、Mora、Etna、Kortingの6つのローカルブランドを持つ。国内以外ではセルビアとチェコに拠点を構え、従業員約1万1,000人を抱える。