スロバキア大統領選でチャプトヴァ氏が勝利、同国初の女性国家元首に

スロバキアで3月30日に実施された大統領選挙の決選投票は、反汚職を掲げる人権派女性弁護士のズザナ・チャプトヴァ氏(45)が58.4%を得票し、政権与党「スメル」が推薦する欧州連合(EU)欧州委員会副委員長マロシュ・シェフチョビッチ氏(52)を破って勝利を収めた。昨年2月のジャーナリスト殺害事件が影を落とす中、政治腐敗に抗議する都市部や若年層の有権者を中心に支持を集めた。女性の国家元首は同国史上初。現職のキスカ大統領の親EU路線を継承する。

今回の大統領選には4人が立候補した。反EUや排外主義を唱える候補者は16日の第1回投票で敗退し、親EUの候補者同士の決選投票となっていた。

チャプトヴァ氏はブラチスラバ都市圏と西部、シェフチョビッチ氏は東部で得票率が高かった。世代別では、18~30歳の73%、31~64歳の57%がチャプトヴァ氏に投票したのに対し、元共産党員のシェフチョビッチ氏は65歳以上の57%が支持した。

同国では昨年2月、政界とイタリアのマフィアとの癒着を調査していたヤン・クチアク記者(27)とその婚約者が自宅で射殺される事件が起きた。公開された同記者の遺稿は汚職やコネ人事に対する大規模な抗議デモを巻き起こし、当時のフィツォ内閣の退陣につながった。

チャプトヴァ氏は新興政党「進歩スロバキア」の副党首。長年にわたり反汚職運動に携わってきたほか、環境保護の促進や中絶擁護、同性カップルの権利擁護などリベラル色が強い。投票結果を受けて同氏は、投票率が41.8%に留まったことに触れ、「国民の多くが(投票しても変わらないという)フラストレーションを抱えている。大統領就任は、国家と政治への人々の信頼を取り戻す大きなチャレンジとなる」と述べた。

スロバキアの大統領は儀礼的な役割が強いが、政権交代に際して新閣僚の承認を拒否できるなど一定の影響力を持つ。

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