ロシアのS7航空の小型プロペラ機が3月31日午後3時ごろ、フランクフルト近郊に墜落した。乗っていたのは同グループの大株主で代表取締役を務めるナターリア・フィリョヴァさん(55)とその父親、操縦士の3人とみられている。
フィリョヴァさんは昨年、米『フォーブス』誌のランキングで「ロシア女性で4番目の富豪」と認定された実業家。現地当局によると、司法解剖では他殺の痕跡は認められず、墜落で死亡したことが確認された。ただ、事故後に機体が炎上したため、身元確認はDNA検査の結果を待たなければならないという。
墜落の原因もまだ分かっていない。目撃者は「斜めに飛んでいると思ったら頭から墜落し、爆発した」と話している。ドイツの連邦航空機事故調査局(BFU)が原因解明に当たるが、航空機がロシア国籍だったため、当事国であるロシアの航空機事故調査局(MAK)も協力するという。来月25日に中間報告が発表される予定だ。
フィリョヴァさんは夫のヴラジフラフさん(55)とともに、アエロフロートに次いで国内2位の航空会社S7の経営に当たってきた。フォーブス誌によれば、保有資産は6億ドルと、ロシア女性で4番目に多い。事故に遭った日は仏カンヌからフランクフルト南方の小型機空港へ向かう途中だったという。
当日は墜落事故に絡んだ自動車事故で5人の死傷者も出た。現場へ向かうパトカーが、センターラインを越えて来た乗用車と正面衝突し、乗用車に乗っていた20代の若者2人が死亡。パトカーに乗っていた警官3人も重傷を負った。