イスタンブール市長選のやり直し決定、トルコ政治への懸念強まる

トルコ最高選挙管理委員会(YSK)は6日、イスタンブール市長選挙を6月23日にやり直すことを決定した。「投票箱約1万6,000個で不正が認められたほか、非公務員が選挙事務に携わっていた」と理由を説明している。しかし、エルドアン大統領が自党候補の落選を受けて選管への圧力を強めていたこともあり、「トルコが法治国家でなくなった決定的な証拠」という批判が出ている。下落が続く通貨リラに対する圧力も高まりそうだ。

3月31日の統一地方選挙に伴い実施された市長選挙で、与党・公正発展党(AKP)はアンカラ、イスタンブール、アンタルヤの主要都市で最大野党・共和人民党(CHP)に敗れた。イスタンブールではCHPのイマモール候補がAKP候補のユルドゥルム元首相をわずか2万5,000票差で下した。AKP及び同党と連立する民族主義者行動党(MHP)の求めによる再集計でもイマモール候補が1万票以上多いことがわかり、同候補は先月、市長に就任した。

すでに新市長が業務を引き継いだ後にやり直し選挙が決まるという異例の事態で、通貨リラの対ドル相場は過去1カ月の最安値をつけた。ブルーベイ・アセットマネジメントのティモシー・アッシュ氏は、「民主制が機能していないという懸念が強まり、トルコ経済が安定しない状況が続く」と予測する。トルコのロシア製ミサイル防衛システム調達計画をめぐり、米国との関係が緊張を増す可能性もあり、経済の見通しは不透明だ。

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