欧州連合(EU)の欧州委員会が、フェイスブックが発行を計画しているデジタル通貨「リブラ」がEU競争法に違反する可能性があるとして、予備的な調査を開始したもようだ。欧米の複数のメディアが21日に報じた。
リブラはフェイスブックがクレジットカード大手ビザ、マスターカードや配車アプリ大手ウーバーなど27社と組んで発行を計画しているデジタル通貨。ビットコインなど他の仮想通貨と異なり、法定通貨など実質資産に裏付けされ、価値が変わらない点が最大の特徴だ。2020年の導入を目指している。
複数の消息筋がブルームバーグなどに明らかにしたところによると、欧州委はリブラについて、消費者のデータの利用などが競争を制限し、他の事業者を不利な立場に追いやる可能性があると判断。8月初めにフェイスブックをはじめとする関係各社に質問状を送り、予備的調査に着手したという。欧州委とフェイスブックはコメントを控えている。
リブラをめぐっては、多くの国の中央銀行、金融当局でマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されたり、個人情報が不正利用されるといった懸念の声があがっている。欧州委は予備的調査の結果を踏まえて、正式な調査を開始する可能性がある。