ポーランドでスマートグリッド実証実験がスタート、日立などが実施

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3日、ポーランドにおけるスマートグリッドの実証実験を10月初めから実施していると発表した。送電線の柔軟な運用により、電力インフラへの投資を抑制しながら再生可能エネルギーの導入を拡大する狙い。

実証実験は日立製作所、日立化成、三井住友銀行が実施を受託した。ポーランド国営送電会社のポーランド・パワーグリッド、同国北西部の配電会社エネルガ・オペレータおよび発電会社エネルガ・リニューアブルエナジーと提携し、3年半の予定で進めている。

目的は、既設の送電系統が系統事故に備えて残している送電線の有効活用だ。通常時にこの予備の容量を再可エネの送電に使い、事故時には再可エネ設備と系統を自動的に切り離し、送電線への負荷が過剰にならないように制御する。

この系統安定化システムと組み合わせて運営が予定されるハイブリッド蓄電池システムの設置も進行中だ。将来的には風力発電と蓄電池システムを組み合わせることで、風力発電の導入拡大を支援する。また、蓄電池システムの応用範囲を広げる可能性も検証する。

ポーランドは欧州連合(EU)の環境政策に沿い、電力需要に占める再生可能エネルギーの比率を2020年までに15%へ、30年までに19%へ増加させる目標を掲げる。風力発電の導入を推進しているが、電力インフラ設備の老朽化が問題となっている。このため、設備投資を抑えながら再可エネ目標が達成できる日本の技術に注目した。

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