欧州委員会は2日、欧州連合(EU)加盟候補国となっている北マケドニア(旧マケドニア)とアルバニアとの加盟交渉開始を現加盟国に改めて勧告した。両国との交渉開始はフランスなど一部の国が反対し、実現していないが、欧州委が加盟手続きを見直すことから、承認される見通しだ。
旧マケドニアは2005年、アルバニアは14年に加盟候補国として認定されたが、EU入りに向けた次のステップとなる加盟交渉開始は見送られてきた。両国の政治・経済改革や汚職、組織犯罪対策の遅れが表向きの理由だが、EUが多くの旧共産圏諸国を短期間に受け入れたことで
“拡大疲労”に直面していることも背景にある。マケドニアに関しては、国名をめぐってギリシャと対立していたことも障害となってきた。
欧州委は18年4月、初めて両国との加盟交渉開始を勧告した。しかし、両国の改革が不十分との声が加盟国内で上がり、受け入れられなかった、19年5月に再び勧告したものの、フランスが強硬に反対し、10月の首脳会議で見送りが決まった。
欧州委は2日に発表した加盟候補国の改革の進展状況に関する最新の報告書で、両国の改革が進み、加盟交渉開始の条件が整ったと指摘。交渉開始を再勧告した。
欧州委は反対国の態度を軟化させるため、2月に加盟手続きの見直し案を発表。現加盟国の権限を強化し、加盟条件を満たすための改革が後退したと判断した場合は加盟交渉を停止できるようにする方針を打ち出した。フランスのマクロン大統領は、これが同国の主張に沿ったものであることから、再勧告された場合は受け入れる意向を2月に表明していた。フランスに同調していたデンマーク、オランダも追随するとみられ、北マケドニアとアルバニアとの加盟交渉開始は、加盟国が月内に開催する総務理事会で承認される見通しだ。