トルコ自動車部品工業会(TAYSAD)のアルパー・カンカ会長は先ごろ現地メディアに対し、新型コロナウイルス流行による景気の低迷が同国の自動車産業に与える影響について、トルコは比較的ダメージが少なく輸出の引き合いも多いと述べ、他国に比べ優位な位置につけているとの見方を示した。自動車の生産体制は維持されており、流行の終息後は地理的に隣接する欧州からの需要増に応えることができるとしている。
コロナウイルスの影響による需要減を受け、欧州の自動車メーカーの多くは年初から4月にかけて工場の操業を停止した。5月に入り徐々に操業を再開しているものの、今後の需要の動向が不透明な中、生産の本格化には踏み切れないでいる。カンカ会長は、仮に2021年に自動車産業が回復したとしても、世界全体では19年の水準には達しないとの見方だ。
ロンドンに拠点を置くデータ会社のIHSマークイットは、2020年の世界の自動車販売台数は前年比20%減の7,030万台に落ち込むと予想する。カンカ会長は、トルコの自動車産業も収縮し50億ドルの損失につながると試算しているが、一方で医療体制や企業がコロナウイルスの流行にうまく対処したことや、企業の勢いが維持されていることを挙げ、「トルコは競合相手に比べ今回の危機からうまく脱し、輸出も他国より増えるだろう」と述べた。同会長は、コロナ危機の終息後は企業の生産拠点が顧客と地理的に近接しているか否かが受注獲得に重要になると予想しており、トルコは対欧州でその要件を満たしているとの見方だ。
欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州27カ国の今年1-3月期の新規自動車登録台数は前年同期から25.6%減少した。一方、トルコ自動車販売事業者協会(ODD)によると、同国の自動車及び小型商用車販売は同期間に前年同期から41%増加した。このうち乗用車の販売台数は9万9,630台で、45%拡大している。