S&P、ブルガリア格付け見通しを「安定的」に引き下げ

米格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル・レーティングス(S&P)は5月29日、ブルガリアの格付け見通しを「強含み」から「安定的」に引き下げた。新型コロナウイルス流行の影響で経済成長見通しが悪化したことを考慮した。今年の成長率はマイナス6.5%と予想するが、経済指標が総体的に健全なため年内にコロナ危機を克服し、来年は回復に向かうとみている。格付けは「BBB」に据え置いた。

S&Pは今後の格下げリスクとして、景気回復対策への財政支出が予想以上に拡大することや、柔軟な金融政策がとれず経済や財政上の不均衡が拡大し長引くことを挙げている。一方、経済全体が大きな不均衡に陥らず、当初の成長見通し(3.6%)の軌道に戻る兆しが見え、輸出など外的要因が大きく改善すれば、格上げの可能性があるとしている。

S&Pは昨年12月、ブルガリアの経済成長が2015年以降、平均3.6%で堅調な伸びを維持してきたことを評価し、長期信用格付けを「BBマイナス」から「BBB」に引き上げた。だが今年1-3月期(第1四半期)は前年同期比で2.4%に減速している。景気回復は内需がけん引する一方、外需の回復は主要輸出先である欧州連合(EU)市場の需要が冷え込んでいるため限定的との見方だ。

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