ロシア国営で天然ガス世界最大手のガスプロムは8日、レニングラード州ウスチ・ルガ港で進められているガス化学コンプレックス建設プロジェクトについて、事業母体であるルスヒムアリアンスと期間20年の天然ガス長期供給契約を結んだと発表した。年間供給量は450億立法メートルに上る。
同プロジェクトはバルト海に面した同港に天然ガス液化施設の「バルチックLNG」と「バルチック化学コンビナート」を設置するもので、完成後は年間1,300万トンのLNG、250万トンの液化石油ガス(LPG)及び400万トンのエタンを生産する予定。
今回の契約に合わせてルスヒムアリアンスは露化学大手シブール傘下のNIPIGazとの間で、同施設の設計と建設に関するEPC契約(フルターンキー契約)を結んだ。ルスヒムアリアンスは昨秋既に中国のプラント大手中国化学工程(CNCEC)との間でも一部施設に関するEPC契約を結んでいる。同コンビナートでは米国のマクダーモット傘下のライセンシング会社ルムス並びにダウ傘下ユニベーションの技術を用いてエタンからエチレンとポリプロピレンが生産される。
以前の報道では、同コンプレックスの1期工事は2023年末から24年初頭にかけて終了する予定で、2期工事はさらに1年後の完工となる見通し。プロジェクト総額は120億ユーロと報じられている。
ルスヒムアリアンスにはガスプロムと国営のルスガスドビーチャが折半出資する。ウスチ・ルガはロシアからバルト海経由でドイツに天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」の起点にあたる。