サプライチェーン再編でポーランド企業にチャンス

新型コロナ危機をきっかけとしたサプライチェーン再編に、ポーランド企業が商機を見出している。部品調達の滞った自動車・部品メーカーの例を教訓に、仕入れ先の多様化が検討されているためだ。ポーランドは人件費の安さや高度な技術を有する企業の存在がプラスに働くとみられる。

自動車業界では、多くの企業が新型コロナの感染が拡大した3月中旬から4月にかけて生産をストップした。その大きな理由の一つが品不足だ。例えば、独フォルクスワーゲン(VW)では東アジアからの鉄鋼供給が滞った。エアブレーキ部品を手がけるMBニューマティックスは、イタリアから真鍮(ちゅう)部品が調達できなくなった。ディーゼル噴射装置メーカーのヴジェテム(Wuzetem)はコーティング作業を委託しているイタリア企業と連絡が取れなくなり、国内で代わりを探しているところという。

専門家らは中国からの部品調達が停止したことを踏まえて、世界のサプライチェーンが再編されるとみる。ポーランドの有利な点としては◇2019年の時給が10.7ユーロと欧州連合(EU)内で6番目に安い◇複雑な部品にも対応できる技術力◇工科大学のレベルが高く、技能の高い人材が豊富――などが挙げられる。一方、労働生産性はEU平均の75%前後にとどまる。

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