ハンガリーの鉄鋼最大手ISDドゥナフェル(Dunaferr)が、ロシア企業の傘下に入るとの観測が浮上している。現地メディアが8月25日、議会筋の情報として報じたところによると、交渉は最終段階に入っているという。一方、ロシアでは国内鉄鋼第2位エヴラズ(Evraz)の大株主であるロマン・アブラモヴィッチ氏が、ISDドゥナフェルの親会社であるウクライナのドンバス企業連合(ISD)を買収する意向を表明したとの報道があり、関連性をうかがわせる。
ISDドゥナフェルの前身はハンガリー国営鉄鋼会社。2004年の民営化でドンバスに買収された。08年のリーマンショック経済危機後、赤字経営が続いたが、欧州鉄鋼市場の競争が激化する中も15、17、18年には黒字を計上した。今年は新型コロナの影響で業績が再び大きく悪化している。
2019年末の従業員数は約4,500人で、今年350人の人員削減を計画していたが2月の労使交渉で中止となった。8月下旬の労働協約交渉が労使の合意のもと打ち切られたため、集団解雇の憶測が再浮上したが、タンキレヴィッチ社長は否定している。