トルコ大統領府のダリオル投資局長は先ごろ、米中間の貿易紛争や新型コロナウイルスの流行を受けグローバルなサプライチェーンに変化が起きているとの認識を明らかにした。同局長は現地紙『デイリーサバ』に対し、多くの外国企業が戦略的な立地やチャンスを求めて同国への投資を検討している状況だと述べ、今後の対内投資増に期待を示した。
ダリオル局長はグローバルな投資環境が回復すればトルコへの力強い投資は復活するとの見立てだ。同局長は、トルコに投資を行ったことのない企業が同国で生産されていない製品に関する情報を求めていることも明らかにした。
トルコ政府はコロナウイルスの感染が拡大し始めて以来、過去に投資を行った企業や投資を行う可能性のある企業などに対し同国への投資を呼びかけてきた。ダリオル局長は、外国企業による生産活動がロックダウン(都市封鎖)の影響を受けないようあらゆる支援を行う用意があると述べた。
ダリオル局長によると、同国ではコロナウイルスの流行下でも米国のモバイルゲーム大手ジンガがゲーム開発企業のピーク(Peak)を18億ドルで買収するなど国内への投資熱は衰えていない。同局長はまた、世界的な著名企業がインセンティブを含む同国の投資環境に関心を示していると述べ、今後投資がさらに行われることに期待を示した。
ダリオル局長によると、サプライチェーンの変化はコロナウイルスの問題が発生する以前から始まっており、それに対応すべく政府は投資企業の候補のリストアップなど先行して対策を行ってきた。同局長は、トルコの繊維製品の輸出が増加しているのは企業によるサプライチェーン再編の結果だとの見方を示した。
トルコでは今年前半に国内のスタートアップ企業10社が投資を受け入れた。4月のロックダウン導入以降は減少したが、9月以降は再び投資が増加する見通しだ。特に自動車、エンジニアリング、インフラ、化学といったセクターが期待できるという。ダリオル局長は新しく設立する予定のベンチャーキャピタルファンドについて、資金規模は10億リラ(1億1,450万ユーロ)を上回るものとなり、テック企業を中心にエントリーレベルの起業家に投資することになると述べた。具体的なセクターとしては公共移動、eモビリティ、エネルギー、化学、ITを挙げた。
ダリオル局長はまた、サプライチェーンの現在の変化は今後3年間グローバル経済に影響を与え続けるとの見通しを示した。このほか最近発見された黒海のガス田について、エネルギー安全保障のみならず、競争力強化や持続可能な成長、及び外国からの投資促進に資するものだと述べた。(1TRY=14.45JPY)