2020/9/9

総合・マクロ

中東欧8月製造業PMI、下半期の景気回復を示唆

この記事の要約

中東欧の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)は、多くの国で7月並みの高い水準にとどまり、下半期における景気回復の見通しを改めて強めるものとなった。チェコは新規受注の縮小が続き、回復がやや遅れそうだ。ポーランドのPMIは […]

中東欧の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)は、多くの国で7月並みの高い水準にとどまり、下半期における景気回復の見通しを改めて強めるものとなった。チェコは新規受注の縮小が続き、回復がやや遅れそうだ。

ポーランドのPMIは前月の52.8から50.6に低下し、都市封鎖(ロックダウン)措置解除後の経済回復が必ずしも容易ではないことを示した。構成指数をみると、新規受注は、国外受注が増加する一方で国内受注が減少し、結果として前月並みとなった。生産指数は、過去31カ月で最高値を記録した前月に比べるとやや後退したが、それでも今後の拡大継続が見込まれるレベルだ。雇用指数はやや改善した。

PMIから判断すると、ポーランド製造業の回復は緩やかとなりそうだ。しかし、同国についてはロックダウン中の製造業の動向予測にPMIがあまり役立たなかった経緯があり、これが生産高の大幅減を予告するとは必ずしもいえない。国外受注が拡大していることから、貿易黒字が維持できそうだ。

チェコのPMIは47から49.1へと微増した。◇ドイツを含む周辺国では、すでに7月の時点でPMIが景気拡大の目安とされる50超を記録◇チェコ製造業景況感指数が8月にコロナ危機前の水準に回復した――といった点を踏まえると、チェコの上昇幅は比較的小さかったといえる。生産指数が2カ月連続で上昇したものの、新規受注の減少が止まらず、全体の足を引っ張った。ただ、新規受注の減少幅は2018年末以来で最も小さかった。

ハンガリーのPMIは7月に50を超えたが、8月はバカンス期にも関わらず、さらに52.8まで伸び、景気の回復をうかがわせた。構成指数をみると、生産、新規受注、在庫、雇用の各指数が上昇し、景気拡大傾向を示唆。一方で納期指数は依然として50を下回った。納期の延びは未だに受注残が大きいことを示しており、近いうちの生産拡大が予想される。

ロシアは48.4から51.1へと上昇し、アナリスト予想の48.9を大きく上回った。50を上回ったのは昨年5月以来初めて。生産指数と新規受注指数が過去1年にないペースで伸びた。

トルコは56.9から54.3へ低下したが、依然として景気拡大傾向を示した。構成指数をみると、新規受注指数が過去2年半で最も大きく増加した。これを反映し、生産指数と雇用指数も上昇した。一方で投入・産出物価上昇幅は過去2年で最大となり、価格圧力が高まっている様子がうかがわれる。

トルコ経済指標はこれまでのところ、下半期のV字回復を示しているが、今後、金融引き締めが段階的に進むと見込まれるため、その勢いが鈍っていく可能性がある。