2020/9/23

総合・マクロ

ポーランド、サイバーセキュリティ対策で中国企業を排除へ

この記事の要約

ポーランド政府はこのほど、サイバーセキュリティ上のリスクが高い製品の使用禁止などを定めた法案を提出した。現行の「サイバーセキュリティの国家システムに関する法律」を改定するもので、ハードおよびソフトウエアを供給する事業者は […]

ポーランド政府はこのほど、サイバーセキュリティ上のリスクが高い製品の使用禁止などを定めた法案を提出した。現行の「サイバーセキュリティの国家システムに関する法律」を改定するもので、ハードおよびソフトウエアを供給する事業者は欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)加盟国以外から受ける影響について調査を行うことが義務付けられる。調査項目には当該国の人権状況や個人データの利用に関するものが含まれており、第5世代(5G)通信などをめぐり欧州で事業を展開する中国のIT大手、華為技術(ファーウェイ)の活動に影響が出るとみられている。

EUでは中国との経済関係が深まっているものの、同国の人権侵害に対する批判の声も高くなりつつあり、欧州での影響力の増大に対する懸念が広がっている。とりわけ電子機器製品を通じた非公式な情報収集活動などへの疑念も強い。法案によると、ポーランドのサイバーセキュリティに対するリスクが高いと判断された場合には製品の使用が禁じられるか、製品が市場から締め出されることになる。

ポーランドは他のEU諸国が5Gの導入に動き出す中、中国企業のプロジェクトへの参加はセキュリティリスクになると一貫して警鐘を鳴らしてきた。2019年に華為のポーランド社員と同国のセキュリティ関係者がスパイ行為を理由に逮捕されて以来、中国政府とは対立しており、ポーランド政府は5G通信の規格設定への同社の参加を禁止する可能性を示唆していた。また米国が中国企業の製品とサービスに関するセキュリティリスクに警告を発していることも懸念材料のひとつとなっている。

ポーランドを含む中東欧諸国は中国の進める広域経済圏構想「一帯一路」の格好の投資先となっている。これまでエネルギーや輸送インフラといった分野には数十億ユーロが投じられてきた。中国と中東欧16カ国の首脳が参加する「16プラス1」会合が主要プロジェクトを発表する場として利用されている。

ウェブ紙ポリティコ・ヨーロッパによると、今回の法案には特定の企業名は含まれておらず、華為以外のテクノロジー企業やソフト企業に適用される可能性もある。