ロシアのスタートアップ企業コネクトームAIが、手指洗浄の監視システム「ディレクティヴァ:サニタリー(Direktiva:Sanitary)」を開発した。世界保健機関(WHO)が推奨する「正しい」方法で洗っているかどうかを確かめ、十分でない場合には対象者が清潔区域(クリーンゾーン)に入れないようにすることもできる。食品産業や医療機関での需要を見込む。すでにグループ企業で使われているほか、「英国の食品大手」を含む5社が導入を検討しているという。
新システムの開発は3年前、ソフトウエア開発の若手グループの発案で始まった。コネクトームのヴァーリチェ社長は、「コンピューターに一連の特定の動きを認識させるのは、顔貌や音声認識よりも難しく、ニューラルネットワークを構築して学習させることで解決した」と話す。
具体的には2つのカメラが顔と手の動きを撮影し、ソフトウエアが「正しく」洗えているかどうかを確かめる。洗面器上方の壁に設置されたスクリーンが手の部位ごとに洗い方を表示し、洗い終わりまでの時間を横棒で示す。
クリーンゾーンの入り口をシステムで管理し、正しく洗えていない従業員が通れないようにすることも可能だ。ただし、生体データの取り扱いに厳しい制限のある欧州連合(EU)では、導入に従業員の承諾が必要となる。
システム導入には設備代2,000米ドルのほか、月120ドルのライセンス代がかかる。
コネクトームは農業持ち株会社ダマテの子会社で、モスクワのハイテク工業団地スコルコボに本拠を置く。従業員数は30人。