ポルトガル決済サービス大手SIBSが28日、6月に経営破綻した独ワイヤーカードのルーマニア事業を完全買収した。東欧市場における地位強化が目的。取引額は明らかにされていない。ルーマニア事業は親会社から独立して営業しており、SIBSによる取得後も従来どおり事業を継続する。
今回買収されたワイヤーカード・ルーマニア(旧プロヴス)は、ロムカードとスーパーカード・ソリューションズ・アンド・サービシーズの子会社2社を展開する。決済サービスおよびソリューションのほか、小売店向けロイヤリティサービスなどを手がける。
25年以上の事業経験を誇り、ルーマニアとモルドバの主要銀行すべてと取引するほか、セルビア、ハンガリー、コソボ、モンテネグロ、北マケドニア、リトアニアでも顧客を獲得している。
2016年にワイヤーカードがポーランド投資会社イノヴァ・キャピタルから同社を買収したことで、ワイヤーカードの傘下に入った。
SIBSはリスボンを本拠とする決済サービス大手で、電子商取引(EC)、現金自動預払機(ATM)・決済端末(POS)ネットワーク・ソリューション、決済カード製造に伴うパーソナライゼーション・サービスを提供する。西欧、アフリカ市場ではすでに主要プレーヤーとして地盤を固めているが、東欧では2018年に取得したポーランドのペイテルのみの展開だった。今回の買収でルーマニアに進出し、東欧事業を強化する。
ワイヤーカードはこれまでにブラジルとオーストリアの事業売却に成功している。