トルコのアルバイラク財務相は9月29日に発表した中期経済計画で、2021年から高成長、経常赤字削減が進むなど、明るい見通しを示した。ただ、市場専門家の多くは予測を楽観的過ぎるとみている。アゼルバイジャンとアルメニアの領土をめぐる紛争が再燃していることも懸念材料のひとつだ。
アルバイラク財務相は景気動向について、20年10-12月期に一旦は減速するものの、来年は通期で国内総生産(GDP)が5.8%増加すると述べた。今年は通期で0.3%増を見込む。ただ、最悪の場合、10-12月期は1.5%のマイナス成長に落ち込み、来年通期は3.7%増にとどまるとした。
2022年と23年はそれぞれ5%のプラスを予測する。20年1-3月期の成長率は前年同期比4.4%だったが、4-6月期は新型コロナの影響で9.9%のマイナスに落ち込んだ。
経常収支については、「金の輸入とコロナ危機による観光収入減で今年は黒字を達成できない」が、「政府は継続して経常収支の改善と経済の安定成長を目指す」と言明した。今年の経常赤字は244億米ドル(対GDP比3.5%)、財政赤字は2,392億リラ(同4.9%)になると予測している。
トルコ経済を左右するリラ為替相場の見通しについては触れなかったが、市場専門家によると、政府はリラ相場が29日の史上最低値(1ドル=7.8リラ)を大きく下回る水準になることを想定している。2年以内に償還期限の迫る民間債務は100億ドルに上り、政府の経済政策が変わらなければ企業が犠牲になりかねない状況だ。
中央銀行は先ごろ、物価上昇の加速を受けて政策金利を2ポイント引き上げ、10.25%にした。政府はインフレ率について、20年は10.5%、21年は8%、22年は6%、23年は4.9%と縮小に転じると予測。失業率は今年の13.8%から23年に10.9%に低下するとみている。(1TRY=13.51JPY)