鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)のポーランド子会社は8日、南西部クラクフにある鉄鋼一次製品の生産施設を閉鎖すると発表した。同拠点の溶鉱炉と製鉄所は世界的な鉄鋼需要の縮小の影響で昨年11月から操業停止しているが、新型コロナ危機で景気が後退する中、迅速な需要回復はないと判断した。今月中に閉鎖手続きに入り、数週間以内の完了を見込む。
同社は欧州連合(EU)での事業存続に関わる要因として、域外からの鉄鋼に対する非関税輸入割当量の拡大決定や、域内排出量取引制度によるコスト増など、安い輸入製品の攻勢にさらされていることを挙げた。
ポーランドでの一時製品の生産は今後、南部ドンブローヴァ・グルニチャの製鉄所(溶鉱炉2基)に集中させ、コスト競争力の向上を目指す考えだ。同製鉄所では生産能力増強のため1億8,000万ズロチ(約4,000万ユーロ)を投資するとともに、ケイ素鋼への加工を目的とした特別等級鋼も生産する計画だ。
一方、クラクフのコークス製造プラント及び鉄鋼半製品事業施設は操業を継続する。延圧用スラブは今後、主にドンブローヴァ・グルニチャの製鉄所から調達する。(1PLN=27.78JPY)