ロシアのIT大手ヤンデックスは16日、国内ネット銀行で最大手のティンコフバンク(Tinkoff Bank)の買収に向けた交渉を中止することで、同社の主要株主と合意したと発表した。具体的な条件で折り合いがつかなかったためと説明している。ヤンデックスは9月22日、ティンコフバンクを55億米ドルで完全買収すると発表していた。
ティンコフバンクの親会社TCSグループ・ホールディングの創業者で多数株主のティンコフ氏は決裂の理由を、「ヤンデックスとの合併を前提に交渉に臨んだが、ヤンデックス側が『買収』にこだわったため」と説明した。一方でヤンデックスは、「ティンコフ氏がティンコフバンクの経営陣に残り、ヤンデックスをサポートしていくことに弊社は同意していた。それでもティンコフ氏は次から次へと新たな要求を持ち出してきた。このため、ティンコフバンク側から交渉中止を決定したと連絡を受けたときも驚かなかった」とコメントした。
「TCSがティンコフバンクを国内移動通信最大手MTSに売却する方向で、MTSの親会社システマと接触している」という報道については、ティンコフ氏もシステマのエフトゥシェンコフ会長も内容を否定している。