カザフスタンのフィンテック企業、ロンドン証取に上場

カザフスタンの金融・フィンテックグループであるカスピ(Kaspi)が15日、ロンドン証券取引所(LSE)でグローバル預託証券(GDR)を公開した。テクノロジー株の需要の大きさを反映して、売り出し価格は仮条件の上限である33.75米ドルに設定された。これを基にした時価総額は65億ドルと、カザフスタン企業として過去最高、欧州の新規株式公開(IPO)として今年4番目の規模となった。売り出されたのは全て発行済み株式で、流通比率は13.4%(追加枠を使い切った場合は15.4%)となる。

カスピはカザフスタン3位銀行を傘下に持つほか、モバイルアプリ「スーパーアップ」を通じてオンライン決済・電子商取引(EC)事業を展開する。具体的には、請求書の支払い、キャッシング、個人間送金、ECサービスのほか、資産管理ツールを提供している。

国内小売店の多くが販売チャネルとして同社のECサービスを通じて商品を販売するほか、対面販売でも同社のシステムを決済手段として採用している。今後は近隣諸国への旅行販売事業の立ち上げを計画する。

カスピの今年上期の売上高は前年同期比32%増の2,990億テンゲ(7億4,000万ドル)、純利益は50%増の1,156億テンゲ(2億3,000万ドル)に上った。月間アクティブユーザー数も72%増の780万人に達した。新型コロナの流行でECの利用が急伸していることが追い風となった。

カスピには米ゴールドマン・サックス、ロシア投資会社バーリング・ヴォストク、カスピのキム会長およびロムタゼ最高経営責任者(CEO)が出資してきた。これら株主はいずれも今回の上場で持ち株の一部を売却した。

カスピは昨年、需要の低さを理由に上場を延期した経緯がある。(1KZT=0.25JPY)

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