2020/12/2

テクノロジー

スロバキア企業連合、世界最速のスパコン開発へ

この記事の要約

スロバキアの企業連合が世界最速のスーパーコンピューター(スパコン)の開発を目指している。プロジェクトに参加する米国の半導体メーカー、タキウムがこのほど明らかにしたもので、ドイツテレコム傘下のIT企業PosAmと、公共放送 […]

スロバキアの企業連合が世界最速のスーパーコンピューター(スパコン)の開発を目指している。プロジェクトに参加する米国の半導体メーカー、タキウムがこのほど明らかにしたもので、ドイツテレコム傘下のIT企業PosAmと、公共放送の電波送信およびプロバイダー事業を展開するタワーコムの3社がコンソーシアム(Innovations for Digital Infrastructure=I4DI)を結成する。

「I4DI」は国内にプロジェクト拠点となる「ナショナル・スーパーコンピューティングセンター」(NSC)を設立し、人工知能(AI)を搭載したスパコンを開発する計画だ。

スパコンの頭脳となるプロセッサには、高性能コンピューティング(HPC)、AI、深層学習(ディープラーニング)と、判断理由を自ら提示できる「説明可能AI」などを組み合わせたタキウムの大容量チップ「Prodigy T16128」が使用される予定。同チップは128のコアを持ち、最大クロック周波数は4ギガヘルツ(GHz)。AIの処理に同チップを使うことでデータセンターの利用効率を90%まで引き上げられるという。同チップは通常のデータ処理に加え、HPC向けのアプリケーションや、ディープラーニングの基礎となる「畳み込みニューラルネットワーク」(CNN)、説明可能AI、脳の神経網の働きにより近い「スパイキングニューラルネットワーク」(SNN)などを実行することが可能だ。

タキウムはスロバキアの首都ブラチスラバにも拠点を持つ。同社を創業したスロバキア出身のラドスラフ・ダニラク氏は政府のイノベーション諮問委員会の委員を務めている。同氏は2011年に米半導体メーカーLSI社に買収されたサンドフォースの創業者の1人で、最高技術責任者(CIO)を務めたほか、エヌビディアや東芝などでチップや中央処理装置(CPU)などの設計を担当していた。