ハンガリー政府は14日、中国の医薬品卸最大手で国営の国薬控股(シノファーム)と新型コロナワクチンの調達で合意したと発表した。経済への影響緩和に向けてワクチン接種を加速する狙い。加盟国のワクチン共同調達を調整する欧州連合(EU)の取り組みに反する動きで、EUとの距離が改めて示された形だ。今後もワクチンの調達量を引き上げるため、ロシアや中国と交渉を続けていく姿勢を明らかにしている。
オルバン政権はEUのワクチン調達のスピードが遅く、経済回復の障害となると強く批判。EU頼みでは予防接種が軌道に乗るまで時間がかかり過ぎるとして、14日の政令を通じてEUの枠外で調達作業を進める権利を自らに与えた。EUからの供給数は週当たり10万回分弱だが、シノファームからの初回供給数は最大100万回分になるという。
中国のワクチンの使用開始には本来、欧州医薬品庁(EMA)による承認が必要だ。しかし、政府は国内機関を通じて独自に緊急使用を許可する方向で、すでに審査手続きを開始した。
シノファームが供給するワクチンはグループ企業の北京生物制品研究所(BIBP)が開発したもので、昨年末に中国当局の承認を受けた。同ワクチンに関するデータは公表されていないが、BIBPによると暫定データベースで有効率79.34%を測定したという。
一方、ハンガリーでは予防接種に対する懸念が強い。中央統計局(KSH)の調べによると、先月の時点でワクチン接種をすると答えた人は約20%にとどまっている。