ハンガリー、ソーシャルメディア規制を予告

ハンガリーのユディット・ヴァルガ法相は1月26日、ソーシャルメディア大手を規制する法案を今春に提出する方針を明らかにした。米ツイッターがトランプ前米大統領のアカウントを永久停止したのを受けたもので、「自由主義的イデオロギーに基づき(市場寡占的な地位を)意図的に悪用すること」を防ぐためと説明している。一方、来年4月の総選挙を前に、政府の管理の手が及んでこなかったソーシャルメディアを規制する試みという見方も浮上している。

ツイッターはトランプ氏支持者などが米連邦議会議事堂に乱入した事件を機に、トランプ氏のアカウントを永久停止した。ヴァルガ法相は同法案について、オルバン首相がトランプ氏を支持してきた経緯もあり、「予告も説明もなしにアカウントを凍結・削除する」といった手法で「リベラル派」がオルバン政権を攻撃する可能性を排除するためと説明した。

ヴァルガ法相は傍証として、(1)自身のフェイスブック・アカウントで経歴が一部の人に公開されていない(2)政府公式ツイッターアカウントが昨年9月に一時凍結された(3)政府のツイッター広告枠注文が拒否された――などを挙げ、「『発言の自由』の組織的侵害」を防ぐ必要性を訴えている。(2)についてツイッターは「エラーによるもの」とし、故意ではなかったと説明している。

一方で、今回の予告を来春の議会選挙を視野に入れたメディア統制の試みとみる声が、野党や専門家の間で聞かれる。オルバン首相は政権に就いた2010年以来、印刷メディアや放送業界への統制を強め、大半をその管理下に収めた。一方で、ソーシャルメディアにはその手が及んでいなかった。

ハンガリーでは、パンデミックや経済低迷で有権者の政府を見る目が厳しくなりつつある。野党連合の支持率が与党と拮抗していることもあり、政府としては今から規制の手を打っておきたいもようだ。

ハンガリーではフェイスブックとインスタグラムがソーシャルメディアブランドとして大きな人気を誇る。

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