ポーランドが水素技術の導入に積極的だ。政府は1月、エネルギー、運輸及び工業部門での水素の利用促進を目的に水素戦略を策定。再生可能エネルギーから生成されるグリーン水素の国内生産振興に向けて優遇措置の導入を提唱している。同国で生産される水素は現在、化石燃料を原料としたものに限られており、今後はグリーン水素のような環境にやさしい水素技術の利用に転換していく方針だ。具体的には電解槽やバイオメタン・廃棄物からの回収ガス、天然ガスなどを利用して二酸化炭素(CO2)を分離したり、海上風力や原子力といったエネルギー源を利用していく。
CO2の排出が少ないグリーン水素を促進することで、石油化学会社や肥料メーカーを中心に同国の産業の脱炭素化を進める。政府の「控え目な」シナリオでは、2030年における電解槽の目標処理能力は2ギガワット(GW)となっており、90億ズロチ(約20億700万ユーロ)の投資が必要になる。また、同年までに国内を走る水素燃料バスの数を3,000台まで増やすことも計画している。
政府は水素技術センターを開設し、関連する研究開発プロジェクトを調整して開発を後押しする。グリーン水素に関連するプロジェクトはすでに複数の国営企業や民間企業で実施されており、電力会社のZE PAK及びポルエネルギア、国営石油・ガス大手PGNiG、石油化学大手PKNオルレン、石油大手グルパ・ロトス、化学大手グルパ・アゾティなどが名を連ねる。(1PLN=28.29JPN)