セルビア、AI活用でワクチン接種をスピードアップ

セルビアが人工知能(AI)を活用して新型コロナワクチンの迅速な接種を進めている。2月14日現在の接種回数は100人当たり14.5回で、欧州では英国(23.33回)に次ぐ高水準。欧州平均(5.82回)の2.5倍に上る。

ヴカシン・グロズディッチ首相顧問によると、集団免疫が早く獲得できれば、それだけパンデミックの影響を小さくできることが明らかだったため、ワクチン供給が始まった昨年12月以前から、関係者が集まり接種計画を入念に検討した。そこで明らかになった様々な要素を踏まえて手続きを全面的に見直し、ITを大幅に取り入れたシステムをわずか数週間で作り出した。

このシステムでは、市民1人1人の希望に沿って接種スケジュールを自動的に組む子ことができる。申し込みから接種までの時間は3分の1に短縮されたという。

市民は電子政府サイト上あるいはコールセンターで予防接種を申し込める。申し込み時に(1)希望するワクチン(米ファイザー/独ビオンテック、中国シノファーム、ロシアのスプートニクVの3種類から選択)(2)年齢(3)職業(4)健康状態(5)希望接種会場とそこへ行ける時間帯――を記入する。AIは(2)~(4)で申請者が優先的に接種を受けられるグループに入っているかどうかを確認したうえで、ワクチンの在庫・調達情報、各接種会場の混み具合などを踏まえて日時を割り振る。接種の数日前までに市民および関係者に通知が届く。

市民、コールセンター職員、医療関係者、ワクチン調達・配送担当者、接種計画の管理者など、一連の手続きに関わる人全員が、単一のデジタルプラットフォームにアクセスできるようにした。これも各手続のスピードアップをうながしている。

システムでは地域や年齢、職業毎に接種状況が確認できる。これを生かして◇接種率の低い地域・グループに絞ってキャンペーンを実施◇接種率に応じたコロナ対策措置の強化あるいは緩和◇ワクチン供給・保管インフラを無駄なく活用――なども可能になった。

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