ロシアと中国、国際決済における欧米依存軽減で協力

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は23日、訪問先の中国・桂林で王毅外相と会談し、国際決済における欧米依存の軽減に引き続き協力して取り組んでいく方針で一致した。欧米からの制裁で決済不能になることを恐れる両国の利害一致を改めて確認した形だ。

ロシアは2014年のクリミア半島併合を機に欧米との関係が冷却化。自国への制裁強化で国際的な銀行間決済ネットワーク「SWIFT」からロシアの銀行が排除される事態を想定に入れている。このため、◇中国への資源輸出における米ドル建ての比率を13年の90%から20年1-9月期には61%へ縮小◇米国国債保有高を過去最高だった10年10月の1,763億ドルから1月までに63億1,000万ドルへ縮小◇独自の決済システム「SPFS」、カード決済システム「MIR」を立ち上げ◇国民福祉基金の運用通貨に人民元と日本円を組み入れ――といった措置をとってきた。

一方の中国も依存軽減への取り組みとして、◇「一帯一路」プロジェクトで、ロシアなど関係国の多くと通貨スワップ協定を締結◇独自決済システム「CIPS」の稼働――を実施している。

欧州連合(EU)、英国、米国、カナダは22日、中国が新疆ウイグル自治区で重大な人権侵害を行っているとして、当局関係者4人及び1団体に対し、資産凍結などの制裁措置を発動すると発表した。欧米は先ごろ、毒殺未遂に遭った反政府活動家のナワリヌイ氏拘束を受けて、ロシアに対する追加制裁も実施しており、中国とロシアが今回、対欧米で一致する姿勢を示すことにつながった。

SWIFTはブリュッセルに本部を置き、銀行間の国際決済ネットワークとして事実上の国際標準の地位にある。2018年、イラン核合意から離脱した米国の強い圧力を受けてイランの銀行をSWIFTから排除し、イランが国外企業と決済することがほぼ不可能になる事態を招いた。

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