●全国民対象に「遺伝子パスポート」発行へ
●関連プロジェクトを含めた予算総額は30億ドルに
ロシア政府が国家遺伝子データベースの整備事業に対する予算計上を検討している。ミシュスチン首相はこのほど、関係省庁に対し同データベースの構築に必要な資金の調達と組織の構想について7月末までに検討するよう要請した。データベースは国立の研究機関クルチャトフ研究所を中心に設置が進められるもようだ。
遺伝子データベースはプーチン大統領が昨年検討を指示していたもの。同大統領は2018年に国家科学・バイオセキュリティ戦略の枠内で遺伝子研究に17億ドルを計上し、すべての国民を対象とする「遺伝子パスポート」を整備するよう求めていた。
独立系メディア『メデドゥーサ』によると、今回の計画の予算額は関連プロジェクトと合わせ総額で30億ドルに上る。データベースを構築にあたり、バイオ情報の保管場所(デポジトリー)の試作モデルがロシア連邦保安庁(FSB)の協力を得て2024年までに整備される予定。
専門家は「遺伝子パスポート」は個人を識別する遺伝子マーカーや、個人の特徴や健康リスクなどの情報が含まれるものになると予想している。
プーチン大統領は以前、外国人がロシア国内で生体材料を収集していると懸念を表明していた。2017年に米空軍がロシア人のRNA(リボ核酸)サンプルの引き渡しを要請し、生物兵器関連施設の存在を主張した際に、同大統領はロシアに対するバイオ戦の危険性が高まっているとの指摘を行っている。