●乗用車と同サイズの「フリップ」、貨物輸送や宅配にも利用可
●価格などは不明、公道走行試験は今後実施
ロシア金融・テクノロジー大手ズベルのモビリティ技術部門ズベルオートテック(SberAutoTech)はこのほど、6人乗りの電動ロボットタクシー「フリップ(Flip)」を公開した。無人運転が可能な同車両は今後、タクシー以外にも貨物輸送など様々なサービスでの活用が期待される。同社は販売価格や供給先、量産開始に向けたスケジュールなどを明らかにしていない。
ズベルオートテックによると、「フリップ」は従来型の乗用車と同サイズながら6人乗りで、自動運転の国際基準を満たしている。電気のほか天然ガスや水素を燃料として利用することも可能だ。また、バッテリーのレイアウトを工夫しており、5分以内に交換することができる。最高技術責任者(CTO)のダビド・ラファロフスキー氏は、「フリップ」には柔軟なアーキテクチャが採用されており、貨物輸送や宅配、タクシーなど様々なサービスに対応できると述べた。
「フリップ」の全長は3メートル62センチメートル、全幅は1メートル95センチメートル。フロント部分やボディ後部の形状は一般的な乗用車と大きく異なり、旧ソ連時代の1985年に放送されたテレビシリーズ「未来からのゲスト」に登場した飛行車両「フリップ」に似ている。内燃エンジンを搭載するためのスペースを必要とせず、車内空間は40%広くなっているほか、完全自動運転のためハンドルなど従来型の運転装置類は除かれている。
コネクテッド機能を搭載しており、ユーザーは専用アプリを介して利用する。同アプリは利用者の顔を認識するほか、「サリュート」と呼ばれるバーチャルアシスタントと対話を行うことが可能。インフォテインメントについては、ズベルのマッピングサービス子会社2GISの地図情報や、ズベルサウンドの音楽配信、オッコ(Okko)の映像配信などのサービスを利用できる。
自動運転技術として、ライダー(LiDAR)、レーダー及びカメラを用いて周囲環境を把握する。車車間通信(V2V)及び路車間通信(V2I)機能を備えており、他の「フリップ」や道路設備と情報のやりとりを行える。
「フリップ」の公道上での走行試験はまだ実施されていない。一方、同分野で国内市場をけん引するIT大手ヤンデックスはすでにロシア内外で数千時間に上る無人運転の試験走行を行っている。ヤンデックスはまた、ロボット車両による食事の宅配サービスをモスクワで始めている。