駐車場の白線表示(ライン塗装)を行う自律型ロボットを開発している。欧州独自の衛星測位システム「ガリレオ」を活用し、誤差1~2センチメートル内の測定精度で塗装作業を行える。一般的な方法の7倍速く作業できるほか、2~4人必要だった作業スタッフがロボットのオペレーター1人に置き換わるため、ライン塗装の大幅な効率化とコスト削減が見込める。
同社のロボットは「ガリレオ」を用いて対象区域を測定し、デジタル形式で座標化することで精密な作業を実現する。従来の方法では全体の最大70%を占めていた測定作業と事前のマーキング作業の大半を省略できるほか、ロボット1台当たり年間で二酸化炭素(CO2)排出量を約1.9トン削減できるという。
10 Linesのソリューションは、これまでイノベーションが起きなかったニッチ市場において手動プロセスを自動化するというものだ。最高経営責任者(CEO)のタルモ・プリンツ氏は「駐車場のライン塗装は手間とコストが大きくかかる。例えば米国では8億台分の駐車場があるが、塗装費用はざっと60億ドルに上る。当社のソリューションはライン塗装を高速化し、作業効率を大きく改善する」と説明する。
2019年設立の同社は欧州宇宙機関(ESA)が主催するイノベーションコンテスト「MyGalileoSolution」で1位(賞金総額12万5,000ユーロ)を獲得している。また、今年6月に実施した資金調達ラウンドでは70万ユーロを得た。資金は技術開発および製品化、事業拡大、スタッフの増員に振り向ける予定だ。
同社のヤノ・パース最高技術責任者(CTO)は、「当社は現時点では駐車場のライン塗装向けのソリューションのみを提供しているが、今後は空港や港、道路標示などの分野へも事業を拡大していきたい。将来的には自動運転車やスマートシティにも当社の技術が応用できるとみている」と話す。
10 Lines
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