EUがロシアをWTOに提訴、国営企業の調達制限めぐり

●国営企業による調達入札時の価格操作を問題視

●政府は15年以来、段階的な規制により国内調達を促進

欧州委員会は19日、ロシア政府が国営企業などによる欧州連合(EU)企業からのモノ・サービス調達を制限しているのは不当として、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。紛争処理の第1段階として当事者間協議を行うが、それで解決できなければ、WTOの紛争処理小委員会(パネル)で本格的に争うことになる。

欧州委によると、ロシア政府は2015年から一部の国営企業や、政府が助成するプロジェクトの主体となる法人による外国からのモノ、サービスの調達を段階的に規制し、国内企業からの調達を促進する政策を進めている。

とくに欧州委が問題視しているのは、国営企業が調達の入札に際して、国内企業の提示額を実際より15%低い価格で審査し、落札後に元の価格に戻している点。このほか、一部の工業製品の調達について当局の認可が必要で、車両、機械、医療機器、繊維製品など約250品目は国内で調達しなければならないというルールがあることも問題で、WTOが禁止している海外企業に対する差別に当たるとして、提訴に踏み切った。

上部へスクロール