●中国アリババ傘下の同社は2023年にIPOを計画
●欧州27カ国で事業を行い、GMVは今年100億ドルへ増加の見通し
トルコの電子商取引(EC)最大手トレンドヨルは9日、米ゼネラル・アトランティックやソフトバンクなど著名な投資家から15億米ドルを調達したと発表した。欧州をはじめとする国外事業の強化が目的だ。2023年に計画する新規株式公開(IPO)に備え、出資者の層を厚くする狙いもある。今回の取引における同社の企業価値の評価額は100億ドルを超え、トルコのスタートアップ企業として初のデカコーン(評価額100億ドル超の未上場企業)となった。
今回の資金調達では、米ゼネラル・アトランティックと、ソフトバンクのベンチャー投資基金であるソフトバンク・ビジョン・ファンド2、米プリンスビル・キャピタル、アブダビ政府系ファンドのADQ、カタール投資庁が共同でリードインベスターを務めた。
トレンドヨルの親会社の中国アリババ・グループは2018年、推定7億4,000万ドルで同社を買収した。今年4月に3億5,000万ドルを追加投資して出資比率を86.5%へ約3.7ポイント引き上げた。当時のトレンドヨルの企業価値は94億ドルだった。
トレンドヨルは2010年の創業。流通取引総額(GMV)は過去3年で20倍に急拡大している。昨年10月にイタリア、スペイン、英国など欧州27カ国で事業を開始し、今年のGMVがおよそ100億ドルへ増加する見通しだ。
調査会社ユーロモニターによると、トレンドヨルはトルコEC市場で34%のトップシェアを握る。2位のヘプシブラダが11%、3位のn11コムが8.3%、4位のギッテ・ギディヨ(Gitti Gidiyor、イーベイ・グループ)が4.4%と続く。
トルコEC2位のヘプシブラダは先月、トルコ企業として初めて米ナスダックで新規株式公開(IPO)を実施し、7億3,800万ドルを調達した。上場時の時価総額は39億ドルに達した。