●両国は19年から衛星を共同開発
●資金難の国向けに「オーダーメイド」の衛星を供給
トルコ航空宇宙産業(TAI)は19日、イスタンブールで開催された「国際防衛産業フェア」(IDEF)で、アルゼンチンのテクノロジー企業INVAPと衛星輸出契約を結んだ。同国の国営通信企業ARSAT向けにオーダーメイドの衛星を製造し、2024年に納入する。トルコによる人工衛星輸出は初となる。
TAIとINVAPは2019年、アンカラの中東工科大学(METU)テクノパークに折半出資でGSATCOMスペーステクノロジーズを設立し、次世代の通信衛星を開発してきた。今回納入する通信衛星「ARSAT-SG1」は電気推進力のみを用いる全電化衛星で、対地同期軌道(静止軌道)で運用を行う。通信には高速衛星通信向けのKa帯(27GHz~40GHz)を利用し、伝送速度は50ギガバイト秒を超える見通し。軌道上における耐用年数(軌道寿命)は15年と見積もられている。
トルコとアルゼンチンは2018年の主要20カ国・地域(G20)ブエノスアイレス・サミットで提携を結んだ。財政に余裕のない国々を視野に、「特注」通信衛星を供給することを狙っている。トルコの国防産業局(SSB)のイスマイル・デミル局長は「TAIとINVAP、GSATCOMのプロジェクトを通じ、今後数年内に南米地域の衛星需要を満たしていく」と述べた。