ポーランドPGNiG、ウクライナのガス会社買収で現地ガス開発本格化

●米社より現地子会社の出資シェア85%を取得

●買収はガス生産拠点と供給地域の多様化に向けた重要な措置

ポーランド国営石油ガス大手PGNiGは8月30日、米ERUマネジメントサービシーズとウクライナの同社ガス子会社、カルパトガズヴィドブヴァニャ(Karpatgazvydobuvannya)の出資シェア85%の買収で合意した。PGNiGは同国でのガス田開発にあたり、今年春に国営ナフトガスと掘削提携での覚書を交わしている。今回の買収先は国内西部ビブリフスカでの開発利権を保有しており、同社を傘下に取り込むことでウクライナ事業を本格的に開始する。

カルパトガズヴィドブヴァニャとの合意によると、年内に探査開始に向けた準備を終え、来年後半に井戸掘削作業に着手する。地層試験の結果が良好なことを前提に、ウクライナのガスパイプラインに連係し、2023年の供給開始を見込む。また、利権取得地区で他のガス井の開発を検討するため、追加の地質調査も行う計画だ。

PGNiGは、ガス生産拠点と供給地域の多様化および国際事業拡大という戦略上、今回の買収を重要な措置と位置付けている。ウクライナ国境に近いプシェムィシルでは国内最大の天然ガス田を長年運営しており、ビブリフスカのガス産出能力にも大きく期待する。ウクライナでのガス開発は近隣のバルト海、アドリア海、黒海周辺諸国のエネルギー安全確保にも貢献するとみている。

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