ルーマニア「犯罪組織」が暗躍~ポーランド

ルーマニアの窃盗集団がポーランド人を悩ませている。といっても、盗むのは自動車など一般人の考え付くものではない。森に生えるキノコだ。

ポーランド人の秋の楽しみはキノコ狩り。誰もが森へ入り集める。自動車のトランクいっぱいになるほど集められれば親戚や隣人の賞賛は確実だ。

すぐに食べる分のほかは、酢漬けにしたり干したりして保存する。冬の大事な食料というだけでなく、クリスマスの伝統的料理でもスープ、ピエロギ、パンケーキの具として使われる。

だからこそ、ルーマニアの「キノコ・マフィア」の評判はすこぶる悪い。小型バスに乗り、何十人という数でやってきて食べられるキノコはすべて狩ってゆく。終わると次の場所へ乗りつけ、またキノコを採る。夜になると種類別に分けて包装し、冷蔵車で西欧に運んで売る。現地の『ガゼタ・ヴィボルチャ』紙によると、ドイツとフランスが「得意先」という。

ポーランドでは「自家用」に限り、一般人のキノコ採取が許されている。よって、ルーマニア人グループの行為は違法だ。しかし、森林管理官は「現場でルーマニア人に話しかけても『欧州連合(EU)民なんだからポーランドの森にいたっていいじゃないか』と言われるだけだ。それに、こっちは一人で見回っているから、若い男が大勢なのが相手だと、なかなか強いことも言えない」と悩み顔。通報を受けた検察局もこれまでのところ「介入」に及び腰だ。少なくとも今年からは警察官が見回りに加勢することになった。

一方、「キノコ・マフィア」は組織化を進めている。初めの頃は、乗用車数台で来て、屋外で寝ていたが、最近はー上記のようにー小型バスに乗り、宿屋に泊まるようになっている。

果たして問題の解決は難しそうだ。ただ一つ、「今年はキノコが豊作」になる見通しなのが朗報となっている。つまり、ルーマニア人が採っていっても余りあるほどキノコが生えそうなのだ。これぞ自然の恵みということか。

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