ブルガリア地方自治体、交通・運輸に水素を利用

●BHAが事業を策定し、EUの「燃料電池・水素合同事業」が助成

●長距離輸送における効率性では水素に並ぶものはない=有識者

ブルガリアの地方自治体が公共交通・運輸への水素利用を進めている。ドイツ・ブルガリア商工会議所(AHKブルガリア)が主催した「水素産業」をテーマにする専門会議で紹介されたもので、バスなどのほか、公共機関の公用車、陸上・河川輸送などへの利用に取り組んでいる。

ブルガリア水素協会(BHA)のダリア・ヴラディコヴァ教授(電気化学)は21日、ソフィア、スタラ・ザゴラ、ルセ、ブルガスの4都市の取り組みを紹介した。BHAが策定し、欧州連合(EU)の「燃料電池・水素合同事業」が助成したプロジェクトで、◇公用車140台の導入◇トロリーバス65台を燃料電池対応に改造◇道路貨物輸送・ドナウ川水上輸送への応用◇燃料補給インフラ整備――などが内容だ。

首都ソフィア市では、燃料電池で走るバスとトロリーバスを30台調達し、運行に必要なインフラを整備するプロジェクトが完了間近となっている。予算は2,000万ユーロに上る。

北部ルセ市では、作業船の一種である押船一隻を改造したほか、燃料補給インフラの整備、公共輸送への水素利用が進んでいる。

もう一つのプロジェクトは、ごみ収集車や機関車、船舶、バス、トロリーバスなど重量の大きい輸送機械を水素で動かすものだ。ヴラディコヴァ教授によると、長距離輸送における効率性では水素に並ぶものはないという。「市街地での走行、軽量の輸送機械ではバッテリーの方が優れているが、長距離輸送では水素の燃費は従来の化石燃料と変わらない。水素の補給も5分で完了する」と長所を力説した。

教育省が助成するプロジェクトでは、ソフィア市のトロリーバスを例に、バッテリーと水素の航続距離延長に向けた比較分析を実施している。

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