●チェコは2月末までサービス業利用やイベント参加を禁止
●スロバキアは状況次第でロックダウン導入も
新型コロナ患者の急増で医療現場がひっ迫しているチェコとスロバキアで22日、ワクチン未接種者を主な対象とした大幅な行動制限措置が導入された。医療機関で治療を受ける重症患者の過半数が未接種者であることを踏まえた措置で、接種率を引き上げる狙いもある。
チェコでは2月末まで、未接種者に対し、宿泊施設、飲食店、スポーツ施設、理容・美容院などへの立ち入りや公開イベントへの参加が基本的に禁じられた。また、職場での勤務に当たって週1回、抗原検査を受けることが義務付けられた。
スロバキアはまずは3週間の時限措置として、新規感染率の増減の勢いとワクチン接種状況を合わせた行動制限を実施した。感染が急速に増えている地域では制限が厳しくなり、急速に減っている地域では緩くなる。いずれの場合も、ワクチン未接種者への規制のほうが接種者に比べて厳しい。感染が急増する地域では、レストラン内の飲食を禁じるなど、営業制限も伴う。
現時点では急増地域がほとんどのため、未接種者にはチェコ同様の措置に加え、ショッピングモールと非日用品の小売店への立ち入りも禁止した。職場における抗原検査もほぼ全国的に義務化された。
スロバキア政府は情勢をみながら措置を見直す立場だが、全国民を対象にロックダウン(都市封鎖)を実施しているオーストリアを例に、「さらに厳しい措置」の導入も検討している。
重症化した患者のうち、ワクチン未接種者はチェコで70%弱、スロバキアで約80%を占める。予防接種を受けても感染拡大は防げないが、重症患者が減るため、全員に行き届いた医療が提供できる態勢を整えやすい。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、欧州連合(EU)の加盟国別完全接種率でスロバキアは下から3位の45.3%。チェコも58%と、EU平均の65.5%を大きく下回っている。