●英パワーハウスエナジーの加熱式ガス化技術(DMG)を実用化
●プラントは最大で1日40トンの廃プラから2~3トンの水素を生産
ロンドンに本拠を置くポーランド系企業ハイドロジェン・ユートピア・インターナショナル(HUI)は10日、ポーランド子会社のハイドロポリス・ユナイテッドを通じ、同国中西部オストルフ・ヴィエルコポルスキの廃棄物処理会社(RZZO)と、プラスチック廃棄物(廃プラ)を原料に水素を生産するプロジェクトに関連する基本合意を結んだと発表した。英パワー
ハウスエナジー(PHE)の加熱式ガス化技術(DMG)を実用化するもので、RZZOの廃棄物処理施設にプラントを併設する計画だ。
HUIによると、DMG技術は敷地の大きさや特性に合わせて柔軟にプラントを設置できるのが特長だ。最小で1.5ヘクタールあれば足り、既存の廃棄物処理施設と組み合わせて運用することもできる。
HUIはポーランド、ハンガリー、
ギリシャでDMG技術の独占販売権を、その他の地域でも非独占販売権を取得している。また、産業ガスの独リンデをはじめ、環境技術、エンジニアリング、建築分野のコンサルタント大手であるスウェーデンのスウェコ、工業炉の設計・製造を手がける蘭エレクトロン・サーマルプロセッシング・イクイップメントなど関連分野の有力企業と提携を締結済みだ。
RZZOはポーランドの廃棄物処理政策の変更を受けて設立された企業で、人口7万人のオストルフ・ヴィエルコポルスキ市から長期契約で廃棄物処理を請け負っている。既存の施設や処理方法の改善も受け持っており、すでに数多くの施設を建設している。
HUIとの合意によると、RZZOは運用施設の一つでプラント用地を
提供するほか、建設許可取得を支援する。また、廃プラの調達も担当する。プラントは最大で1日40トンの廃プラから2~3トンの水素を生産する。同時に電力、熱も供給する。
RZZOは欧州連合(EU)、政府・地方自治体の助成金取得や民間資金の調達、水素と電力の引受先探しでも協力を約束している。
HUIはすでに昨年2月、やはりポーランドのコニン市と同様の水素プラント設置で合意。提携パートナーのスウェコがこれまでに環境影響評価(EIA)を当局に提出した。HUIが昨年9月、S&Pグローバル・プラッツの取材に対して明らかにしたところによると、年内にも試験稼働が予定されている。