スロベニアが脱石炭を決定、33年に褐炭発電を中止

●EU助成金2億5,000万ユーロを産炭地での産業転換に役立てる

●褐炭火力発電所は排出権の価格高騰ですでに採算割れ

スロベニア政府は13日、2033年までに石炭を電源として使用することを中止する方針を固めた。デッドラインを定めて欧州グリーンディールの枠組みから移行支援金を受給し、産炭地域の構造改革に充てる。欧州連合(EU)加盟国のうちで31年以降に脱石炭を予定するのはスロベニアを含めて6カ国のみ。しかし、専門家や非政府組織(NGO)環境団体では、発電所の採算性や、EUによるエネルギー政策の加速で日程が早まる可能性があるとみている。

閣議で決定された脱石炭・産炭地域構造再編計画によると、EUからの助成金2億5,000万ユーロはサヴィニャ・シャレク地方と中央サヴァ渓谷(ザサヴィエ)地方の両産炭地における産業転換に役立てられる。新技術の開発・実用化で石炭に代わる産業を育成していく方針だ。

サヴィニャ・シャレク地方には、国営電力会社HSEの運営するヴェレニエ炭鉱とショシュタニ褐炭火力発電所がある。同社によると、炭鉱では生産中止から廃鉱まで15年

を要するため、最低20年間は雇用が維持されるという。また、非公式情報によると、ショシュタニ発電所は、褐炭から天然ガスに電源を変更するもようだ。

中央サヴァ渓谷地方ではすでに炭鉱も発電所も稼働を終了している。

専門家によると、ショシュタニ発電所は排出権の価格高騰で採算割れとなっており、33年より前に褐炭の使用を中止する可能性もあるという。

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