●計画はEV用バッテリーとしての需要拡大をにらんだもの
●当局は環境破壊を懸念する激しい抗議行動に直面
セルビア政府は20日、豪資源大手リオ・ティントによるリチウム鉱山開発計画を破棄すると発表した。環境破壊を懸念する激しい抗議行動を受けたもので、春に控える大統領・議会選挙も視野に入れた判断とみられる。リオ・ティント側は政府決定の法的根拠を調査したうえで、今後の措置を検討する方針だ。
リオ・ティントは2004年にセルビア西部ヤダル渓谷のロズニツァ付近で欧州最大規模のリチウム鉱床を確認。電動車(EV)用バッテリーとしての需要拡大をにらみ、昨年、24億米ドルを開発事業に投じる方針を発表した。
これを受けて、「ブチッチ政権は土壌・水源が汚染され、環境が破壊される危険に目をつぶっている」として国民の怒りに火が付いた。環境団体や周辺住民を中心に数千人単位の人々が数週間にわたって鉱区への幹線道路に立ちはだかり、抗議を続けた。
激しい反対運動に直面したロズニツァ市は先月の時点でリオ・ティントに対する開発用地の割当計画を撤回。セルビア政府も今月になって、開発計画を継続するかどうかの判断を選挙後に持ち越すと発表していた。