●AI技術企業のコルサイトAIと協力し開発
●コルサイトAIの評価額は年内に2.5億ドルまで増加の見通し
イスラエル企業のヨズモト(Yozmot)は人工知能(AI)技術開発のコルサイトAI(Corsight AI)と協力し、ウェアラブルの顔認証ボディカムを開発した。同システムは警察官などが装着することで人の顔をスキャンし、群衆の中から瞬時に容疑者を割り出すことができる。すでに生産を開始しており、世界中の230の警察組織などに納入されている。
ヨズモトはイスラエル軍の大佐だったダニー・ティルザ氏が率いる。同システムを利用することで、マスクや化粧などで素顔を隠していたとしても写真データと照合し、人を判別できるのが特徴だ。
市場調査会社のモルドル(Mordor)によると、顔認識技術の関連産業の2020年の市場規模は37億ドル。26年には116億ドルまで拡大すると予想されている。一方、個人情報保護に関する懸念から、米IT大手のフェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、IBMはいずれも顔認証に関連するプログラムの政府関係機関への販売を凍結している状況だ。
フランス政府は先月、米国のクリアビューAI社に対し個人情報を削除するよう命令した。同社がインターネットから得た画像を使い、顔認証システムのデータベースを構築してプライバシーを侵害したというのがその理由だ。コルサイトAIのワッツ最高経営責任者(CEO)はそれに関し、当社は人権状況などを理由に中国やロシア、ミャンマーとは取引していないと述べた。同社は過去に英国政府の監視カメラ担当委員だったトニー・ポーター氏をプライバシー担当役員として採用していたほか、同社のソフトウエアでは無関係と判定された顔に数秒でぼかしを入れたり削除したりすることができると主張している。
ワッツCEOによると、コルサイトAIがこのほど実施した資金調達ラウンドでの評価額は5,500万ドル。今年末までには2億5,000万ドルまで増加する見通しだ。
イスラエルでも顔認証ソフトウエアに対する批判はあるものの、コルサイトAIはすでに政府機関などと多くの契約を結んでいる。