●同社が特許を持つ量産法では牛肉の組織構造を完全に複製可能
●同国のフードテック業界では1億ドルを超える大型調達が続く
3Dプリンタによる代替肉製造技術を手がけるイスラエルの新興企業リディファイン・ミート(Redefine Meat)はこのほど、ハナコ・ベンチャーズなどから1億3,500万米ドルを調達した。この資金でイスラエル、オランダに生産拠点を設けるほか、新たな提携レストランを開拓する方針だ。
リディファイン・ミート(旧名:ジェットイート)は2018年に植物由来の3Dプリンタ成形肉をつくることに成功した。同社が特許を取得した量産法では牛肉の組織構造を完全に複製できるという。同社の商品「ニューミート」の原材料はエンドウ豆タンパク、大豆、ビート、ヒヨコマメ、ココナッツ油で、高たんぱく、コレステロールフリーという特長がある。塊肉からバーガー肉(パテ)、ソーセージ、ケバブ、ひき肉まで、さまざまな形状で売られている。
「ニューミート」はすでにイスラエル国内の飲食店およそ200店のメニューに採用されている。昨年11月にはミシュランガイドの星付きレストランを含む英国、ドイツ、オランダの高級料理店へ納入を開始した。
事業計画によると、リディファイン・ミートでは3Dプリンタと原材料の入った「インク」カートリッジを販売することも予定している。
今回の資金調達では、ニューヨークとテルアビブに拠点を構えるハナコ・ベンチャーズがリードインベスターを務めた。これにより、リディファイン・ミートの累計調達額は約1億8,000万ドルに上昇した。
イスラエルのフードテック業界ではこのところ、1億ドルを超える大型調達が目立っている。代替乳・乳製品を手がけるリミルクは先月に1億2,000万ドルを、培養肉のフューチャーミートは12月に3億4,700万ドルを、7月にはやはり培養肉のアレフ・ファームズが1億500万ドルを調達している。
米調査会社アライド・マーケット・リサーチによると、世界の代替肉市場は26年までに81億ドルに拡大する見通しだ。健康志向、動物保護、環境保護などの理由から肉の消費を減らす人が増えていることがその背景にある。