2022/2/16

テクノロジー

米インテル、イスラエルの半導体メーカーを買収

この記事の要約

●買収は新経営戦略「IDM 2.0」の一環、取引額は54億ドル●イスラエル社は日本にも3工場を持つ米インテルは15日、イスラエルの同業タワーセミコンダクタ(Tower Semiconductor)を54億米ドルで買収する […]

●買収は新経営戦略「IDM 2.0」の一環、取引額は54億ドル

●イスラエル社は日本にも3工場を持つ

米インテルは15日、イスラエルの同業タワーセミコンダクタ(Tower Semiconductor)を54億米ドルで買収すると発表した。昨年発表した新経営戦略に沿い、半導体受託生産事業を強化する動きだ。タワーセミコンダクタの株主および競争当局の承認を経て、1年以内の手続き完了を狙う。

タワーセミコンダクタは30年近くにわたり、半導体アナログを製造し自動車、携帯電話・スマホ、インフラ、医療、航空宇宙、防衛産業に供給してきた。米航空宇宙局(NASA)が2018年打ち上げ、昨年、太陽コロナ内に到達した探査機には、同社が参加して開発された画像技術が搭載されている。イスラエルと米国で各2工場、日本で3工場を運営しており、今回の買収でインテルはその生産能力とノウハウを傘下に収める。タワーセミコンダクタの取引関係を活かし、地理的に守備範囲を広げる考えだ。

インテルは新経営戦略「IDM 2.0」で、自前の工場を持たない半導体メーカーから製造を受託するファウンダリー事業を立ち上げる方針を打ち出した。他社の買収だけでなく、米国と欧州で投資を通じた生産能力拡大にも取り組んでいる。新型コロナ流行に伴う半導体不足で、テクノロジー企業が生産地の分散を図ると踏み、台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子などアジア勢が支配する市場に切り込む。

増産に向けた設備投資では、アリゾナ州、ニューメキシコ州の工場強化に続いて、先月、オハイオ州に200億ドルを投じて、2工場を整備する意向を明らかにしている。政府助成が得られれば最大で総額1,000億ドルを投資して8工場を設ける姿勢だ。

インテルはイスラエルで50年近く事業を展開してきた。5工場を操業し、約1万4,000人を雇用する。17年に先進運転アシスト技術のモービルアイを153億ドルで取得するなど、16年以来、タワーセミコンダクタを含めて同国企業6社を買収している。