2022/3/2

自動車

対ロ制裁で自動車産業に多大の影響、工場停止やレアメタル不足の可能性

この記事の要約

●ロシアは自動車部品の外国への依存度高く、調達不足の可能性●同国がレアメタルの供給止めれば世界の自動車産業に打撃ロシア軍のウクライナ進攻を受けて本格的な対ロ制裁が発動された場合、自動車産業に大きな影響が出ると懸念されてい […]

●ロシアは自動車部品の外国への依存度高く、調達不足の可能性

●同国がレアメタルの供給止めれば世界の自動車産業に打撃

ロシア軍のウクライナ進攻を受けて本格的な対ロ制裁が発動された場合、自動車産業に大きな影響が出ると懸念されている。米NBCニュースの2月24日の報道によると、ロシアに工場を持つメーカーが生産停止に追い込まれたり、レアメタル(希少金属)が不足する可能性がある。

ロシアは自動車生産で使われるパラジウムやニッケルなどレアメタルの世界最大の供給国のひとつだ。また、ステランティス、フォルクスワーゲン(VW)、トヨタなど世界大手の工場を含む大規模な製造拠点が複数存在する。同国製自動車に使われる部品の少なくとも4分の1は米国など国外製であるため、制裁措置が講じられれば、これらの工場は操業停止に追い込まれる恐れがある。

同国の商用車最大手GAZは、西側による制裁が発動された場合は生産を停止しなければならないとの声明を発表した。ステランティスはカルーガ工場で製造した商用バンを欧州に輸出する計画だったが、カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は「生産を他の工場に移すか、生産調整を行う必要があるかもしれない」と述べ、戦略見直しの可能性を示した。

ロシアはリチウムイオン電池に使われるニッケルの世界第3位の産出国で、触媒コンバーターに用いられるパラジウムは全体の40%を供給している。後者は内燃エンジン車に欠かせないため、プーチン大統領が報復措置としてパラジウムの供給を止めた場合、自動車メーカーは代替の供給元を見つける必要に迫られる。ニッケルも同様で、メーカーは電動車販売計画の見直しに追い込まれかねない。

NBCによると、パラジウムは南アフリカとジンバブエでも生産されているものの、価格は大幅に上昇。新車の平均コストを150~200ドル押し上げる見通しだ。ニッケルはインドネシアとフィリピンが代替の供給源となるが、やはり需要が増え価格が上がっている。

中国の動向も警戒されている。『フォーブズ』のアナリスト、サム・アブエルサミド氏は「大きな問題は中国がどう動くかだ」と述べ、ロシアに厳しい制裁を科した場合、回路基板や車載電池生産に必要なリチウムの供給を中国が制限するかもしれないと述べた。