●感温性ポリマーと酸化鉄製のロボットは幅約200ナノメートル
●実験では100分の稼働でヒ素を平均65%除去
チェコのプラハ化学工科大学の研究チームが、産業排水を浄化するナノロボットを開発した。磁場を使って稼働させるため燃料が不要で、繰り返し使えるのが特長だ。成果は1日発行の『ネイチャー』誌に発表された。
開発したのはマルティン・プメラ教授のチーム。感温性ポリマーと酸化鉄を材料に用いた。ポリマーが汚染物質を拾う手の役割を果たす。酸化鉄はナノロボットに磁性を付与する。酸化鉄に酸素・水素原子を加えることで、標的とする有毒物質と結合できるようにした。
ロボットの幅は約200ナノメートル(人間の毛髪の300分の1以下)。実験で、水温5度ではナノロボットが散り散りに動いていたが、25度になると凝集することが示された。汚染物質は凝集時にロボットとロボットの間にはさまる形で集められる。逆にロボットから物質を取り除くときには温度を下げて凝集を解いてやればよい。
ロボットは磁石で回収でき、再利用にも耐えることが確認された。10回行った実験では、100分の稼働でヒ素を平均65%除去できた。
プメラ教授によれば、ナノロボットは大量生産が可能。すでに排水処理事業者から照会が寄せられているという。