ウクライナが顔認識技術を工作員摘発に活用、米クリアビューが提供

●クライナに無償提供、ロシア側には使用を認めず

●同社のシステムは、照合用として顔画像100億枚を学習済み

ウクライナが12日、米人工知能(AI)技術企業クリアビューAIの顔認識技術の利用を開始した。自国軍に潜入したロシア工作員の摘発が目的だ。敵側の人物でないかどうか、検問所で不審人物を素早くチェックできるようになる。

ロイター通信の13日付特報によると、クリアビューは開戦後、ウクライナに無償提供を申し出た。ロシア側には使用を認めていないという。ウクライナ側は、IT企業から顔認識システム提供の申し出を受けている事実を認めたが、企業名やクリアビューを導入したかどうかについては明らかにしていない。

クリアビューのシステムは、照合用として顔画像100億枚を学習済み。このうち、20億枚がロシアのソーシャルメディア(SNS)であるVKに投稿されたものだ。保安管理だけでなく、死者の身元確認、SNS上の偽情報の摘発、避難中にはぐれた家族を見つける手段にもなるとみられている。

システムによる誤認が戦争下では死につながる可能性があるという懸念に対してクリアビューは、「身元確認には弊社システムと並行して他の手段も用いることが義務となって」おり、心配ないという立場だ。

クリアビューの顔画像は個人の同意を得ずに収集されており、人権侵害の疑いがある。すでに米国やカナダ、欧州で訴訟が起こされたり、違法判断が下されている。

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