ロシア・ウクライナ戦争で化学肥料の高騰に拍車

●ロシアは世界貿易の15%、カリ肥料に限ると17%を占める

●FAOは22/23農業年度の肥料参照価格が13%上昇すると予想

ロシアのウクライナ侵攻で、化学肥料の高騰に拍車がかかっている。ロシアが世界貿易の15%、カリ肥料に限ると17%を占める主要生産国の一つだからだ。ロシアと手を組むベラルーシも主な供給国の一つで、世界的な肥料不足・食料減産が懸念される。

ロシアは先週、カリを含む複数の肥料の輸出を禁止した。同国から肥料を調達している国は多いが、なかでもカザフスタン、エストニア、モルドバ、アゼルバイジャン、キルギス、セルビア、ラトビアなどは需要の半分以上を依存する。短期的に他の国へ調達先を切り替えるのは難しい。

世界的な農業国であるブラジルも肥料原料の85%を輸入に依存している。主な調達先はロシアとベラルーシだ。輸入のストップは特に大豆、トウモロコシ、サトウキビの栽培に影響があるという。

このような事情で、国連食糧農業機関(FAO)は2022/23農業年度の肥料参照価格が13%上昇すると予想する。肥料原料のアンモニアを作るのに必要な天然ガスでも、ロシアが世界貿易の20%を占める。肥料不足で農産物の収穫が減少すれば、世界の食料安定供給に影響が生じるのは避けられなさそうだ。

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