●これまでの流出数は5万~7万人、4月はさらに10万人の見通し
●財務省はIT産業に対する支援策を導入
ロシア電子通信連合(RAEC)はこのほど、同国からのIT技術者の流出が加速していることを明らかにした。プルゴタレンコ会長がロシア下院で述べたもので、ウクライナでの紛争に伴う経済制裁の導入後に国外に流出したIT技術者の数は5万人から7万人に上る。4月にはさらに10万人が国外に出る見通しだ。経済環境の悪化に伴い2020年にはすでに技術者の国外流出が顕著になっていたが、その傾向に拍車がかかっている。
同国におけるIT技術者の数は計180万人。ITを専攻する大学の卒業生数は毎年8万人に上る。一方、不足しているとされる50万人から100万人を補うことはできていないのが現状だ。
経済制裁に伴う不況を背景に財務省はIT産業に対する支援策に乗り出した。インターファクス通信によると、IT企業は3年間にわたり所得税や税務調査が免除されるほか、ソフトウエア開発に携わる従業員は徴兵が猶予される。また国内でのサービスの実装及び試験で使用されるモバイルアプリやシステムの開発者は税制優遇措置を受けることが可能になる。IT企業への貸付利率は最大3%までに制限されるほか、従業員は優先的に融資を受けられる。
デジタル発展・通信・マスメディア省は独自に140億ドルの予算を追加し、小規模なハイテク企業に対し政府が運営するボルトニク基金やスコルコボ基金等を通して助成金を支給していく方針だ。